EVやハイブリッド車が新車販売の三割を超えた二〇二五年、市場拡大とともにロードサービスには従来のレッカー搬送だけでなく高電圧バッテリー車固有の課題を解決する次世代型メニューが求められている。第一に注目すべきは現場急速充電で、損保ジャパンとJAFが二〇二五年四月からトライアルを全国拡大し、出動車に大容量リチウム電源を積載して十〜四十分で最大四〇km相当を補充し最寄り急速器まで自走させる仕組みを整えた。さらにトヨタとJAFは水素燃料電池にも対応した多機能救援トラックを開発し二〇二五年内に実証を開始、充電と水素供給を一台で行うことでFCVのエネルギー切れにも即応する体制をめざす。フラットベッド積載車も進化し、低床ローダーとタイヤ浮上ユニットの併用でモーター直結輪を一切転がさずに搬送するため、回生ブレーキやトランスアクスルを損ねるリスクが大幅に低減した。救援スタッフには感電防止のための第二種電気工事士相当の高電圧資格取得が義務化されつつあり、絶縁手袋や遮断棒を使用する作業手順が標準化されたほか、OBD-IIに直結する専用タブレットでBMSエラーを現場診断し十二ボルト補機バッテリー交換やソフトリセットだけで再始動できるケースも増えている。統計上、EVロードサービスの一〇%は電欠が原因で、JAFは二〇二三年時点で電欠七〇〇件超を救援し毎年増加傾向と報告しており、その場充電の重要性は高まる一方だ。料金体系は年会費型サブスクリプションと従量課金型に二極化し、月額五百〜千円で五〇km無料搬送と二回の現場充電を含む定額プランか、一回につき一万五千円前後で必要なときだけ呼ぶスポットプランを選べる。日常的に短距離通勤で公共急速器が整備された都市部ユーザーは後者で十分だが、郊外や寒冷地での航続距離変動に備えるなら定額型が安心だろう。さらに大手保険会社のロードアシストとメーカー保証を重複利用すれば無料搬送距離が加算され自己負担をゼロに抑えられるケースもあり、契約前に付帯サービス一覧で無料範囲、再出動条件、高速料金負担を比較することが肝要だ。デジタル面ではアプリによるGPS位置共有とチャットサポートが標準化し、到着予定時刻と料金見積がリアルタイム更新されるため待機ストレスと料金トラブルが激減した。火災や冠水といった高電圧バッテリーの特殊事故には一般レッカーが対応できないことがあるため、二十四時間専門窓口と高圧隔離コンテナを備えた業者かどうかもチェックポイントとなる。契約後はアプリ更新でサービス仕様が変わることがあるので半年に一度は通知を確認し、車両ソフトウェアアップデート同様にロードサービスも最新状態に保つことが次世代車時代の安心につながる。